スノーボードで「木の葉落とししかできない」という悩みはよく聞きます。その理由は5つ考えられます。
ボードを縦に向けられない5つの原因- 目線の先行ができていない
- 上半身がローテーションしていない
- 重心がボードの上からずれている
- ヒザが曲がっていない
- 前足に乗れていない
この記事では上記のチェックポイントをひとつひとつ解決し、怪我なく無理なくノーズドロップできるように練習していきます。
スノーボードを縦にして、フォールラインに向かって滑ることをノーズドロップといいます。以前は「先落とし」とも呼んでいました。
また初心者が1日でターンするための記事も制作しました。まったく初めてのスノーボードで、その日のうちにターンしたい人は以下のリンクをタップしてください。
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木の葉落とししかできない原因は? 1つずつ解決しよう
ざっくりまとめると、スノーボードをフォールラインに向けられない原因は、怖くて腰が引けて足元を見ていることにあります。その結果低い姿勢がとれず、体重移動ができず……と負のスパイラルに入ってしまいます。
うまい人と一緒に行くと「ヒザを曲げて」とアドバイスされることも多いのですが、それができないのはみんな同じです。
そこで、この記事では自然とノーズドロップができてしまうコツもお伝えしていきます。
できない理由1「目線の先行ができていない」
いちばん最初に気をつけたいのは、目線が先行できているかどうかです。初心者であっても目線の先行は意識さえすればできるので、まず「目線を意識!」と自分に言い聞かせましょう。
足元を見ていないか? 行きたい方向へと目線を送っているか? といった点に注意をしてください。
コツ足下を見ずに進む方向を見る。
恐怖から目線が下がることを防ぐために、遠くの物(たとえば斜面下のリフト小屋など)を目標物に決めて、そこへ向かうのもひとつの方法です。
できない理由2「ローテーションしていない」
目線の先行はできました。しかし、顔だけがフォールラインを向いていても、ボードはついてきてくれません。目線といっしょに上半身を先行させるように意識してみましょう。
2本の棒をゴムに引っかけて一方をひねると、もう一方もついて行こうとします。ローテーションはこれと同じ原理です。
上半身をゆっくりとひねっていくと、上半身とボード(下半身)にねじれが生まれ、ボードは上半身について行こうと動きだします。
このように上半身を谷側(フォールライン側)に適度にひねることを、先行動作と呼びます。
体を先行させすぎるのではなく、徐々に先行動作をして、ボードがそれにつられて回ってくるようにイメージしましょう。
できない理由3「重心がボードの上からずれている」
先行動作を意識せず、ボードを無理に回そうとすると、ターンの内側に体が倒れてしまう事があります。こうなるとボードの上から重心がずれてしまい、バランスを崩してしまいます。
内傾しがちな人はローテーションのコツを再確認しましょう。「常に体のひねりにボードがついてくる」というイメージをもち、少しずつ先行動作をするようにします。
コツ無理に回そうとするのでなく、少しずつ上体を先行させる。できない理由4「ヒザが曲がっていない」
ボードが回ってくれない原因は、ヒザが曲がっていなくて、棒立ちになっているからではないでしょうか? 自分の姿勢を意識してみてください。
スタート時点で低い姿勢がとれていないと、ヒザが立った姿勢になりがちです。
スタート前の停止状態(基本姿勢)で足首、ヒザ、股関節をしっかり曲げて低い姿勢をとるよう意識してください。そこから……
- 低い姿勢から立ち上がる
- 立ち上がりながら前足に荷重する
という動作を行うと、ボードは自然と縦に走ってくれます。また、立ち上がって一番高くなった時点でも、ヒザを伸ばしきらず余裕を残してください。
スノーボードの基本姿勢を解説|関連記事
できない理由5「前足に乗れていない」
図のように後ろ足に乗ってしまうとノーズドロップできません。このままローテーションをしてもボードはついてきてくれないので、もう一度基本姿勢を確認しましょう。
重心移動が消極的だと、ノーズがフォールラインを向いてくれません。そこで、どうしても無理に上体をひねってボードを回そうとしてしまいます。
前足に積極的に荷重すればいい、とわかっていても、最初は怖くてできないのが当然です。そこで、ノーズドロップの練習では、なるべく斜度が緩いコースを使うようにしてください。
コツ斜面設定は緩めのコースに。恐怖心を押さえて積極的に重心移動する。それでもダメな時は奥の手「ジャンプして板を回す」
どうしてもノーズドロップがうまくいかない場合はその場でジャンプしてボードを90度回転させ、谷に向かって直滑降するのもひとつの練習になります。
「横滑り」があるので「縦滑り」もあるのかと思ってしまいますが、ボードを谷に向けて縦にして滑ることを「直滑降」といいます。スノーボードをマスターする上で、直滑降はひとつのカベになります。
ジャンプして板を回転させ、まずは直滑降に慣れてみるのもいいでしょう。直滑降のコツはこの記事の後半で解説しています。
ターンへとつながる技術「ノーズドロップ」を再確認
ノーズドロップを覚える理由は、ボードを縦にして滑ることだけではありません。ターンの重要な要素「谷まわり」の練習にもなるので、必ずマスターしておく必要があります。
図のようにターンを2つに分けて、上半分を谷回り、下半分を山回りと呼びます。ノーズドロップはこのうち谷回りの動きと重複する要素が大きく、きっちりマスターするとターンの練習がスムーズに進められます。
ノーズドロップの流れを再確認斜めサイドスリップからスタート
静止した状態からでもノーズドロップは可能ですが、ターンにつなげるために、斜めサイドスリップの状態から挑戦するのがベストです。
前足寄り荷重で立ち上がる
低い姿勢から立ち上がり、同時に前足に重心を移動します。この時点でボードが縦に向き始めることもあります。
目線+前肩を先行(ローテーション)
目線と上体を先行する「先行動作」をとると、ボードのノーズが自然と谷に落ちていきます。この時先行動作を大きく取り過ぎるのではなく、少しずつ上体を先行させ、少しずつボードがついて回ってくるイメージをもちましょう。
直滑降の姿勢をとる
直滑降に入ったら両足を緊張させる意識をもちましょう。重心をボードの上からはずさないように注意します。
カウンターローテーションで停止
後ろの足を降り出して低い姿勢になります。サイドスリップから停止した時と同じように、山側エッジに角付けして停止します。
トゥエッジからのノーズドロップ
最初はトゥーエッジで停止または斜め横滑りをしている状態からのノーズドロップに挑戦します。
トウエッジからのノーズドロップでは、急にフォールラインを見ると谷側エッジに重心が乗るため、逆エッジになりがちです。
ヒールエッジからのノーズドロップ
ヒールエッジで停止または斜め横滑りをしている状態からノーズドロップをすると、最初は谷に飛び込むような怖さがあります。
そこで、うまくいかない場合は、できる限り緩い斜面を選んで練習してみてください。コツがつかめれば、ある程度斜度がある所でもできるようになります。
コツは積極的に前足のカカトに重心を乗せていくこと。上半身のスムーズな先行を意識しましょう。
初めての直滑降。バランスよく滑るための注意点は3つ
木の葉落としからノーズドロップに進んだ時点で、初めて直滑降することになります。ボードをまっすぐに走らせるのは、ちょっと怖いかもしれません。
- ニュートラルポジションよりやや低めの姿勢をとる
- 両足に緊張感をもたせる
- どうしても体が遅れるので、斜面に対して垂直に立つ意識をもつ
難しいのは③の「体が遅れない」という点です。怖いと腰が引けて後ろ足に乗ってしまい、よりいっそう体が遅れてしまいます。
そこで、最初は前足に乗りすぎるくらいのイメージでもいいでしょう。思い切って前足に乗るようにしてください。
注……スクールに入るとノーズドロップの前に緩斜面で直滑降の練習をすることもあります。
停止動作にも抜重+重心移動が必要
直滑降から停止するときは、抜重を意識しましょう。
- 低い姿勢からフォールラインに向かって立ち上がる
- 前足に重心を移し、前足を回転軸にする
- 後ろ足を押し出してボードを横に向ける
- 少しずつ荷重しながら角付けを強めて停止
ポイントは低い姿勢からフォールライン(谷)に向かって立ち上がること。この時、ボードにかかる荷重が少なくなります(抜重)。
この抜重をきっかけに前足に軸を作り(重心を前足に)、その軸を中心としてボードを回転させるイメージです。
あとはサイドスリップから停止した時と同じく、体を低くして沈み込みながら荷重し山側エッジの角付けを強めていきます。
サイドスリップの復習をする場合は、以下のリンクをタップしてください。
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用語解説「フロントサイドかトゥサイドか?」
僕たちが記事を書くときに、よく参照している基本書があります。それはJSBAの『スノーボード教程』で、多くのスノーボードスクールもこの教程に準拠しています。
略して『教程本』と呼んでいますが、この『教程本』にも解釈の難しい点がちょいちょい出てきます。この記事で考えておきたいのは、ターンの方向(というかノーズドロップする方向)を指す名称です。
『教程本』では(もしくはJSBAでは)フロントサイドターンと呼ばずトゥサイドターンと呼んでいます。バックサイドターンはヒールサイドターン。なので、ヒールサイドの斜め横滑りからのノーズドロップは「トゥサイドのノーズドロップ」といいます。
と思うかもしれませんが、実際ややこしいので記事の中ではすべて「ヒールエッジからのノーズドロップ」で統一しました。
次の段階でターンをマスターしてしまうと、トゥサイドターンやヒールサイドターンという呼び名がすんなり理解できてしまいます。
次のステップアップはこの記事で↓。
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