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スノボの安全な転び方 | 怪我をしやすい手と頭を保護するこけ方を解説

この記事ではスノーボード歴25年くらいの僕たちがおすすめする、安全なコケ方をお伝えします。

まずは動画で見てみましょう!

なんとなくイメージがつかめたところで、詳しく説明していきます。

後ろに転ぶ
後ろに転ぶ時は頭を上げて背中を丸める
藤沼到プロの実演

後ろに転倒するときは、

  1. あごを引き頭を上げる
  2. 背中を丸める
  3. 足を少し上げておく

の3点を意識してください。後で詳しく解説しますが、柔道の受け身にすごく似ています。

前に転ぶ
前に転倒するときはヘッドスライディングする

前に転倒するときは、

  1. 手をつかずにヘッドスライディング

これだけです。①だけなので、いまこの瞬間に覚えてください。手をつくと危険です。

前に転ぶ時も後ろに転ぶ時も、背中やおなかで雪面を滑ることで、うまく衝撃を逃がしてください。

この記事は、スノーボードで1万回くらい転んだ雑誌スノーボーダー元編集長の立石が構成し、藤沼到プロが実演してくれています。

「頭を上げる」とか、「手をつかない」というポイントには、医学的な根拠もあるのです。詳しくはこの記事の後半で!

スノボで怪我をする理由を知るとコケ方がわかる

スノーボードで怪我をしやすい部分
スノーボードでよく怪我をする部位

岡山県の長谷川記念病院が、スノーボードで怪我をした患者さんのデータを発表してくれています。

グラフ「スノーボード外傷の内訳」
データ出典:長谷川記念病院

このグラフのように、頭と首(頭部外傷と頸椎捻挫)をあわせると外傷全体の34%になり、頭まわりがもっとも怪我をしやすいとわかります。

次に目立つのが、手関節部骨折の26%。

上半身に6割の怪我が集中していますね。

なんとなく超危険そうに思える足(ヒザと足関節靱帯)は合計23%と、いちばん危ないわけではなさそうです。

そこで、頭と腕に最大の注意をはらい、ヒザや足はその次くらいに注意しておくべきだとわかります。

データは平成5年~17年にかけて、長谷川記念病院(岡山県)を受診した患者さんの統計です。同病院のサイトには怪我をしたときの対処法も書かれており、参考になります。

頭と手・腕の安全を確保したうえで、足にも気をつけるといい……とわかったところで、正しい転び方をより細かく見ていきます。

ペンギンスタイルと柔道スタイルで怪我なく転ぶ

以下の数字を押さえておくと、怪我の防止方法がなんとなく見えてきます。

頭や手の怪我 6割
足の怪我 2割

というのが、スノーボーダーが怪我をした部位の割合でした。怪我をしやすい部位に衝撃を受けないよう注意すればよいわけです。

そこで、後ろに転倒するときは柔道の受け身を、前に転倒するときはペンギンを意識することをおすすめします。

後ろに転ぶときは柔道と同じ。頭と足を上げて衝撃を逃がす

後ろ(=ヒール側)に転ぶ時のイメージは「柔道の受け身」。柔道で投げられたときは、力に逆らわずに背中を丸めて転がります。またアゴを引くように頭を持ち上げて後頭部を打たないように注意しましょう。

元プロスノーボーダーの渡部ルミ(スノマガ)は「後ろにでんぐり返るくらいの意識で衝撃を逃がす」と解説しています。

後ろに転ぶ時は頭を上げて背中を丸める

上の写真は藤沼到プロの転び方です。

  1. 頭を上げ
  2. 背中を丸めて衝撃を逃がし
  3. エッジが引っかからないように足を少し上げる

の3点がしっかりできていますね。ちなみにこの写真撮影時の藤沼プロは左腕複雑骨折中です。腕を骨折していても、この転び方なら安心ということですね。

ポイント

ヒール側=後ろに転ぶ時は、頭を持ち上げ、背中を丸めて衝撃を逃がす。手はつかない。

前に転ぶときは雪上を滑るペンギンのイメージで腹ばいに

前=トゥ側に転ぶ時はペンギンを意識

前(=トゥ側)に転ぶときのイメージは「雪の上を腹ばいに滑るペンギン」で。転んでも気持ちよく前に滑ってしまえれば大正解です。

僕は初心者のころ右手をついて転び、右手首は雪に埋もれて、そのまま体は滑り続けたという経験があります。右手首靱帯損傷(手関節ねんざ)という残念な結果になりました。

そこで、前に転ぶときは手をつかず、ヘッドスライディングしてください。

前に転倒するときはヘッドスライディングする
  1. 頭と腕を雪面から持ち上げる
  2. エッジが引っかからないように足を上げる

の2点を意識しましょう。

ポイント

トゥ側=前に転ぶ時は、手をつかずにヘッドスライディングする。

最重要プロテクターはケツパッド? ヘルメット?

プロテクターについては別記事で詳しく解説予定ですが、ここでは「スノーボードで怪我をしないために最低限必要なもの」という観点で、少しだけ考えてみましょう。

結論からいうとケツパッドは1~2年目のみ必要なので安くてそこそこの品質でOK。ヘルメットや関節サポーターはずっと必要なので、高くても品質を追求しましょう。

お尻を含む体幹の怪我に比べて、手足の怪我は3.6倍も発生しています。スノーボーダーにとってケツパッドよりサポーターの方が重要といえます。

スノーボードで怪我をしやすい時期
データ出典:スポーツ産業学Vol.8(X軸の数字はサンプル数)

スノーボードでもっとも怪我をしやすいのは、グラフのように3~4シーズンめです。頻繁に転ぶ1シーズンめに比べて、2シーズンめ以降の怪我の発生数が大幅に増えているのは「スピードが出せるようになるから」です。

また、怪我をして病院を受診する時期(受傷時期)は平均3.2シーズンめといわれています。

そこで、2年目以降、うまくなったときに役に立つ安全な転び方を身につけておき、目的にあったサポーターを選んでおくことが大きな怪我を防ぐポイントとなります。

将来的にはこのあたりが危ない!
体の左半分に怪我が集中(レギュラーの場合)

実はスノーボードでは、前側の手と足に怪我が集中しています。レギュラーなら左手・左腕や左ヒザの保護が必要ということです。また、体の左と右で、怪我の質も違っています。

体の部位 怪我の内容
左上肢(腕や手首) ねじり系(捻挫・骨折)
左下肢(ヒザ・足) ねじり系(捻挫・骨折)
右下肢 打撲系

体の前側(レギュラーなら左)の手や足についてはねじる力が働くので、捻挫や骨折が多く発生しています。そこから、左手足はねじれに有効なサポーターを利用するのがおすすめです。

グーフィーの人は、上の表の左右を入れ替えて考えてください。

体の後ろ側(レギュラーなら右)の手や腕には怪我が少ないですが、足(とくにヒザ)は打撲系の怪我が発生しています。そこから、右ヒザには打撲に強いプロテクターが有効です。

場合によっては、友達とプロテクターをシェアするのもおすすめです。この後紹介するBURTON BASIC KNEE PADは2個セットなので、友達と分ければ安上がりになります。

この記事で引用している研究論文では、サポーター選びを次のように結論づけています。「捻挫が発生しやすい前足にはひねりを防止するサポーターを使用し、上肢及び後ろ足には衝撃を吸収するパットを着用することが望まれる。」

実際に長くスノーボードをしてきた感覚でも、前ヒザにはサポート力がほしいという意見に賛成です。ただし、腕や手首のプロテクター・サポーターは必ずしも必要でないため、この記事では紹介しません。

おすすめのサポーター選び

ケツパッドは1~2シーズンで卒業するはずなので、3000円以内の商品でもけっこういけると思います。

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上記の商品は格安ですが、これくらいで十分です。面ファスナー(ベルクロ)で止めるタイプなのは一見かっこ悪いですが、幅広い体型にフィットするので、履くタイプよりもむしろよいと思います。

このタイプのケツパッドには、履くタイプに比べてトイレに行きやすいというメリットもあります。お尻の冷えを防止するために、上級者にも薄手のヒップパッドを使っている人がいますね。

前ヒザはサポート力、後ろヒザは衝撃吸収力が必要

ヒザのサポーターは前足用ならザムストがおすすめですが、後ろ足用はeb'sやBurtonの衝撃吸収タイプがおすすめです。前足はねじれに、後ろ足は衝撃に対する保護が必要になるからです。

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ザムストのサポーターは右か左1つずつバラ売りなので、前足用だけ欲しいときに便利です。サイズはヒザの上10cmの太ももまわりを測ります。サイズが36~40cmの人はS、40~44cmの人はM、44~48cmの人はL、48~52cmの人はLLを選んでください。

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BurtonのBASIC KNEE PADは男女兼用でXS、S、M、L、XLの5サイズ展開です。若干大きめサイズを選んだ方がフィットします。

死亡事故を防ぐためにヘルメットも揃えたい

最後に、死亡事故がもっとも多い頭部損傷を防ぐためにヘルメットもおすすめします。この記事では、SMITHのHOLTがけっこう安いショップにリンクを貼っておきます。Amazonのほうは高いので、これを買うなら楽天で。ただしこのショップはサイズバリエーションが少なめです。

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ヘルメットやプロテクターについては別記事で詳しく特集します!

まとめ「力を受け流すようにスライディング」

なかには転倒するときにヒジをつくことを推奨するサイトがありますが、それだと手首やヒジを怪我したり、あばらを骨折する危険性があります。

手やヒジをつくのではなく、力を受け流すようにうまくスライディングするイメージをもつと、痛くなくて怪我をしにくくなります。

スノーボード外傷に関する研究論文でも「胸部の骨折のほとんどが肋骨に関するもので転倒時に発生していた」と指摘されています。この点には、注意してください。


参考文献

Takaya HIRANO, Toshiharu YANAGI(1998)「A Study of Snowboarding Injuies: An Analysis and Comparison of Stance」(スポーツ産業研究 Vol.8)

146、151、155、159の4サイズあります
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