「かわいい板、見た目が気に入った板を選ぶのが正解です」
と、某有名スノーボードショップの店長さんが断言していました。もちろん、性能が自分に合っていることは大前提ですが、その上で「かわいい!」と思える板を選ぶとスノーボードが楽しくなります。
そして、結果的に上達がはやくなります。
この記事では、
- 性能も大事なので最低限のポイントを押さえる
- レディースモデルの中でもかわいい、かっこいいモデルを探す
…を中心に解説しています。
スノーボードが楽しくなる、お気に入りの板を探しましょう。
この記事は雑誌SnowBoarder元編集長の立石が制作し、元女子プロ選手の渡部が監修しました。
見た目「だけ」で選ぶと失敗も。チェックポイントを紹介
ウェアもスノボの板も、見た目が気に入ったものを選ばないと気分的に盛り上がれません。デザインが気に入ったモデルを選べば、楽しく滑れて上達も早くなるでしょう。
しかしウェアと違い板には落とし穴があります。
例えばROXY(ロキシー)のXOXOという板はかわいいデザインですが、普通の人には乗りこなせない上級モデルです。トーラ・ブライトやクロエ・キムのような契約プロライダー向けの設計で、うっかり見た目で選んでしまうと大変なことに……。
その点を押さえておき、カタログやネットショップの商品情報に書かれたスペックをざっくり確認することも必要です。
柔らかいボードが扱いやすい!(フレックス選び)
デスレーベル(DEATH LABEL)の近藤勇二郎プロに、初心者向けの板選びについてアドバイスをお願いしました。 勇二郎プロがあげてくれたポイントは2つあります。
- ボードの長さ選びに注意しよう
- 柔らかい板を選ぶようにしよう
勇二郎プロによると、柔らかい板は低速で扱いやすく、硬い板は高速で性能を発揮します。
初心者のうちは、低速で練習しますから、柔らかい板を選んでください。
チェックポイントカタログやネットショップのスペック欄を見ると必ず「フレックス」という項目があります。10段階で表している場合は、2~4ぐらいの柔らかいボードを選んでください。1はだいたいキッズモデルなので避けましょう。
スノーボードの「長さ」については、少し後で解説しています。
逆エッジにならず滑りやすい板(ベンド)
スノーボードを床に置き自分の目線を床まで下げて、ま横から板を見たときの形をベンドといいます。
できるだけ痛い思いをせずに上達したいと考えている人は、ロッカーと呼ばれる形状の板を選んでください。最近はロッカーをベースにしたハイブリッド形状だったり、足元に2つのキャンバーがあるダブルキャンバーボードもあります。こういったモデルは、ほとんどがラクラク上達できるタイプです。
一方、いずれターン技術をしっかりマスターしたい人は、キャンバーを選びましょう。
ターンを楽しむなら「形」も大切(シェイプ)
スノーボードを床に置き、立ち上がって真上から見た形をシェイプといいます。
スノーボードのシェイプには、主に以下の3つの種類があります
スノボ板を上から見た形ツインチップ | 前後対称な形をしています |
---|---|
ディレクショナルツイン | ツインチップの形をしていますが、ビンディングを付ける位置が後ろ寄りです |
ディレクショナル | 前後非対称で、前向きに進みやすいように作られています |
この3つのシェイプのうち、ツインチップはスノーボードパークでジャンプしたりレールやボックスを攻めたりする人に向いている形状です。
ゲレンデを普通にターンすることを楽しみたい人は、ディレクショナルというシェイプを選択しましょう。そうすれば自分が得意な方向に進みやすく、早めの上達につながります。ディレクショナルとツインチップの中間的な、ディレクショナルツインでも構いません。
女の子ならではの「長さ」の選び方(レングス)
スノーボードの適切な長さは、一般的に身長マイナス15cm程度といわれます。身長170cm前後の男性であればこの基準で板を選ぶことは簡単です。
しかし身長が特に高い人や、特に低い人の場合は選び方の基準が少し変わってきます。
身長150cmくらいの方であれば、身長マイナス10cmくらいのボードを選ぶのが適切です。
例えば150cmちょうどの人であれば、138または142ぐらいのボードを選ぶとよいでしょう。
キッズモデルやメンズモデルは選ばない方が無難
身長が高い人や低い人は「ちょうどいい長さがない」という問題に悩まされがち。でもメンズモデルやキッズモデルを選ぶのは、あまりおすすめしません。
メンズモデルは男性の体格や脚力に合わせて設計されています。また、キッズモデルは子どもの足の大きさや体重、体格に合わせて設計されています。
ここでは、レディースモデルの中でもとくに長いモデルと短いモデルを紹介します。できればこういったボードの中から最適なモデルを選んでください。
レディースモデルでめいっぱい長いボードは?
RIDE(ライド)スノーボードのHEARTBREAKERというモデルはレディースボードですが150がラインナップされています。身長170cm前後の人でも対応可能で、初中級者も乗りやすいソフトフレックスに設定されています。ただし入荷本数が少ない150サイズはすぐに完売してしまいます。狙っている人は早めに押さえておきましょう。
グラフィックは1990年代のスノーボードシーンをほうふつとさせる雰囲気で、かわいいというより力強くシンプルめ。しかし最近は90年代のデザインがリバイバルしているため、決して違和感があるグラフィックではありません。ウェアしだいでかわいくコーディネートできるでしょう。
すぐ下の商品リンクのうち、上の段は150の在庫があるショップが開きます(2022年12月8日現在)。下段は150が完売しているものの、ビンディングセットがかなりお得なショップへのリンクです。
レディースモデルでめいっぱい短いボードは?
いっぽう身長140cm台の女の子も、ちょうどいい長さが見つかりにくいと思います。業界最短はSALOMON(サロモン) REFRECT(リフレクト)やLOTUSにラインナップされている135でしょう。REFRECTはオールラウンドに使える初中級者向けボードで、フラットアウトキャンバーという「エッジが引っかかりにくいけどしっかりターンもできる」という形状を採用しています。
ユニセックスモデルのREFRECTはトップのレモネードピンクがかわいい色合いで、今年の新作ウェアと合わせやすいのもうれしいポイントです。
レディースモデルのLOTUSはREFRCTとよく似たスペックですが、椰子の木のグラフィックが陽気な雰囲気です。
どちらかのモデルの135が在庫していれば、早めに押さえたほうがいいでしょう。
最初は高価すぎる板を選ぶ必要はありません
スノボの板を買う時「とりあえず高い方がいいのかな?」と迷うかもしれませんが、高い板を買う必要はあまりありません。
初心者モデルはシンプルで、最新テクノロジーは使われていません。しかしその分、安く買うことができます。すなおで柔らかいので、初心者に扱いやすいというメリットもあります。
「扱いやすい」というのは、滑りやすいという意味もありますが、取り扱いがラクという意味合いも。
上級者向けの板は、シンタードベースといってお手入れが難しいソール(スノボの板の裏側に貼ってある樹脂)が使われています。
シンタードベースであればホットワックスをするなど気を使う必要がありますが、入門向けのボードならそういった手間は不要です。エクストルーデッドベースという、お手入れが簡単なソールが使われているからです。
ワックスについては以下の記事で詳しく解説していますので、お手入れが気になる方は読んでみてください。
スノボ簡単ワックス講座。初心者は簡易ワックスだけでOKって本当?|関連記事
押さえておきたい「ブランド」。信頼できるのはどこ?
初めて板を買う時には「どのブランドがいいの?」と悩むはず。スノマガを作っているスタッフも、初心者の頃「うっかりコレを買ってしまった」と後悔した経験があります。
スノボのブランドを分類インターナショナルブランド | 世界的に有名なブランドならたくさん製造していて安く、品質も安定 |
国産ブランド | メイド・イン・ジャパンの高品質を求める人に |
ガールズブランド | レディース専用ブランドはどれをとってもかわいいのが特徴 |
どれを選んだらいいかわからない場合は、以下のモデルから選んでおけばまず問題ないでしょう。
レディースの初心者モデルをラインナップしているブランドのみを紹介しています。
ハマればかわいい!国際的なメジャーブランド
コスパでおすすめできるのは、世界的に流通しているメジャーブランド。たくさん作っているので価格が控えめですし、性能も安定しています。
ただし、外国の人が考えたデザインだけに、ハマった時はすごくかわいいのですが、はずした時は日本人にはちょっと「?」となる場合もあります。
品質がよくて安いので「デザインが気に入ったら買い」だと思います。
BURTON(バートン) HIDEAWAY(ハイドアウェイ)
スノーボードのトップブランドBURTONは複数のレディースモデルをラインナップしていますが、その中でも初中級者がターンしやすく、またターンの練習に適したモデルです。飛んだり回ったりは得意種目ではありませんが、まったくできないわけではなく、オールラウンドに使えます。
デザイン的には奇抜な感じではなく、万人受けするグラフィック。その点でも安心して選べます。
HEAD(ヘッド) EVERYTHING LYT
HEADスノーボードの、ちょっとだけ中級寄りの初中級モデル。EVERYTHINGはメンズボードのANTHINGと同じコンセプトで作られた、レディースモデルです。
レンタルボードで少し練習してみて「だんだん滑れるようになってきたからマイボードが欲しい」と思った時にぴったりの商品です。軽くて取り回しやすく、またトゥサイドとヒールサイドでサイドカーブを変えてあるのが特徴です。
ヒールサイドターン(バックサイドターン)が苦手だな……と感じている人はぜひ使ってみてください。苦手意識を克服できるはずです。
以下のリンク上段は単品、下段は2点セットにジャンプします。値段は900円しか変わらないので、2点セットを強くおすすめします。FLUXのビンディングが900円で手に入ることは普通あり得ないですよ。
K2 FIRST LITE(ファーストライト) CAMBER
元々はスキーブランドですが、長年スノーボードを作り続けるK2もおすすめブランドです。高品質・低価格のモデルが多く、このFIRST LITEもそのひとつ。初心者向けの板ですが、どちらかというと「将来うまくなりたい」という人がターンを練習するのに適しています。
キーカラーのわさび色をトップとソールの両面にあしらっている点もおしゃれです。
やっぱり安心のジャパンブランド
日本の工場で職人さんが作った板は、やっぱり完成度が高く安心して乗れます。コスパはやや落ちるものの、予算に余裕があれば選んでみていいと思います。何より、日本人が設計して日本で作られているので、日本のスノーボーダーが乗りやすい点がおすすめポイントです。
YONEX DECLIC 2023
もともとはGROWENT(グロウエント)というグラトリボードのレディース版。しかし、超軽量で扱いやすく、少ない脚力でも板の反発を生かせるように設計されています。メーカーのヨネックスでも「初級スノーボーダーが、ライディングの基本動作を覚えるボードとしてもオススメ」と説明しています。ワンランク上の初心者ボードで、グラフィックも他のヨネックス製品に比べるとかわいい雰囲気。136という短いサイズもラインナップされています。
DEATH LABEL BLACK FLAG DW 2023
流行にとらわれないシンプルなグラフィックで、ものすごく扱いやすいのに初心者っぽく見えません。かわいいというよりかっこいい路線です。ユニセックスモデルで、短めのレングス(長さ)の板は女性の脚力や体力に合わせて設計されています。
Holiday(ホリデイ)スノーボード ALLDAY
ブランド設立20年以上の老舗ジャパンブランド。数年前にすべてのボードを国内生産に切り替え、さらに品質が安定しました。
柔らかいフレックスのALLDAYは、グラトリやジブ中心にステップアップできるユニセックスモデルです。短めのレングスはレディースに適した設計になっています。
SAVANDER(サバンダー) MEE 2nd FACE
プロスノーボーダーの石川健二くんがプロデュースするSAVANDERは、かなり息の長いジャパンブランドです。最近は当初の路線と少し印象が変わっていますが、日本で企画している製品で、安心して乗れるという点は変わっていません。レディースモデルのMEEはキーカラーにミントグリーンを採用し、ゲレンデで目を引くデザインです。
レディースブランドのおすすめは?
女の子にぴったりの性能とかわいいデザインを両立する、ガールズ(レディース)専用ブランドも気になります。
どれもかわいくて目移りしますが、カタログの情報をしっかり読み込んで、自分にぴったりのモデルを選ぶのがポイントです。
SABLINA CLIMINAL(クリミナル)
SABLINAは日本発のレディースブランドなので、安心して選べます。軽量なウッドコアで、ボード全体が柔らかくフレックスするのが特徴。日本人の女の子に最適化されたスペックです。キャンバーといってターン上達に向いている形状なのも見逃せません。
グラフィックのかわいさとあいまって、女の子の初心者にはイチオシのボードです。
ROXY(ロキシー) DAWN
QUIKSILVERの姉妹ブランドROXYは、かわいい商品を多数ラインナップしていますが、ウェアと板で製造・輸入している会社が違っています。板のデザインもかわいいのですが、上級モデルの中味は本格派だったりするので注意が必要。また、初心者モデルのDAWNは本数が少なく、あまり出回っていません。
ネットではなかなか見つからないので以下のショップを紹介していますが、ちょっと価格を吊り上げすぎ。リンク先でグラフィックを確認し、どこで買えるかはメーカーに問合せした方がいいでしょう。アドバンスマーケティングという会社が取り扱っています。
DAWNはROXYではいちばん初心者向けで、なおかついちばんかわいい板。手に入りにくい事だけが玉にきずです。
問い合わせ先:アドバンスマーケティング(TEL 029-839-2020)
レディース用のスノボ板の相場は? 予算はどれくらい?
最新モデルのスノボ板とビンディング、ブーツを揃えるとざっくり10万円台前半~。型落ちの去年モデルを上手く探せると、半額くらいに収まります。
具体例で見てみましょう。
新品で揃えた場合モデル名 | 税込価格 | |
---|---|---|
板 | Burton イェーセイヤー Flying V | 69,300円 |
ビンディング | Burton シチズン Re:Flex | 19,800円 |
ブーツ | Burton ミント | 26,400円 |
合計 | 115,500円 |
モデル名 | 税込価格 | |
---|---|---|
板 | SALOMON Lotus | 47,200円 |
ビンディング | head FX-MU | |
ブーツ | Burton ミント | 19,800円 |
合計 | 67,000円 |
いずれも初中級の女の子にちょうどいいモデルです。最新モデルはすべて単品で購入した場合の価格で、型落ち商品は2022-2023モデルの板とビンディングの2点セット+ブーツの価格で計算しています。
もちろんもっと高いモデルはたくさんありますが、高い板を買わなくてもいい(むしろ買わない方がいい)理由は、すでに説明したとおりです。
激安旧モデルでも気に入ったら買い。選び方と注意点は?
旧モデルでも、1~2年落ちくらいなら性能に問題はありません。すでに説明したように、最新モデルの半額くらいで揃えられるのが最大のメリットです。
デメリットは「選べない」「すぐなくなる」という点。旧モデルはどうしてもサイズが選べないことが多いのが難点です。
また、気に入ったモデルで「自分にぴったりのサイズがあった!」という場合、早めに買っておかないとすぐなくなってしまいます。
そこで、旧モデルを買う場合は、
- ある程度デザインに妥協する
- デザインが気に入ったモデルがあれば即決する
といった対応が必要です。
スノマガでは中古ボードはおすすめしていません。どんな使い方をしてきたかわからないですし、そもそも最新モデルに比べて性能が劣る可能性があるからです。
おすすめの型落ちモデルは?たとえばこの記事でも取り上げているSALOMONのLOTUS。型落ちを上手に探せば、最新モデルの半額で手に入ります。以下のショップでは一番短い135サイズが売り切れていますが、他のサイズはまだ在庫があります(2022年12月9日現在)。
激安旧モデルのレディースボードは以下の記事で特集していきます。
レディースのスノボ板。安心して買える型落ち激安モデルを厳選|関連記事
最新モデルを選ぶ理由
「本当にかわいい板が欲しい!」と考えている場合は、最新モデルがおすすめです。在庫がたくさんあるので、欲しい板を確実に買うことができるからです。
1~2年で性能が大きく変わるわけではありませんが、それでも最新モデルなら流行のグラフィックを取り入れている点が安心できます。
まとめ:レディース用のかわいいスノボ板ベスト3
スノボの板を選ぶときにデザインはとても重要なものの、デザインだけで選ぶと失敗しがちです。
そこでこの記事では「かわいくて乗りやすい!」という板選びを解説してきました。
ポイントはカタログやショップの商品情報で、しっかりとスペックを見て選ぶこと。
もし性能面で迷いがあるようなら、スノマガのおすすめからお気に入りの1本を探してみてください。
DEATH LABELのダブルキャンバーモデルBLACK FLAG DW
クールなグラフィックですが、実はラクにターンができてしまうボードです。初心者からグラトリが好きな人まで対応可能。
K2 FIRST LITE CAMBER
初中級向けですが、シンプルなデザインがちょっと上級者っぽく見せてくれます。かわいい板ですがしっかりターンを練習できます。
SALOMON REFLECT
REFLECTのレディース向けレングスは、かなりかわいいグラフィックになっています。「将来どんな滑りがしたいか決まっていないけど、もしかしたらスノボにハマるかも?」という予感がある人はこれで。レベルアップしても長く乗り続けられます。